名盤シリーズ

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ラテン・ストート・ヴァイブからベース野郎へ

時は1994年、ニューヨークのRMMという当時ラテン音楽の最重要レーベルとバッドニュースが契約を交わし、ティト・プエンテ、セリア・クルース、オスカル・デレオーン、マーク・アンソニー、インディアなどをリリースしていきました。そんな中、RMMの中でもダンス・ミュージック系の若手達を輩出しているSOHO LATINOのコンピレーションを発売する運びになり、チカーノ臭たっぷりのラガマフィン、ヒップホップ、ハウスなど全てのストリート・サウンドを詰め込んだ『ラテン・ストリート・ヴァイブ』を1995年8月末にリリースしたのが、その始まりでした。このシリーズは3作で打ち止めとなりましたが、それとクロスするように1996年の夏から始まっていたのが『ベース野郎』でした。

どちらかと言うと陽気なラテン乗りの前作に比べ、どこか危険な香りとエロな匂いのする、そして何と言ってもよりベース・サウンドにこだわった『ベース野郎』は時代の空気、ローライダー・ブームと共に、瞬く間に人気シリーズとなりました。その後、エロチカSPEED野郎日本音圧協会音質向上委員会、クリスマス、テクノなどシリーズも多岐にわたり、5年間で約50枚のコンピレーションでベース好きを唸らせてきたわけです。 そんな名盤シリーズの最後を飾るのに相応しい『ベース野郎』シリーズで現在入手可能な盤をここでピックアップさせてもらいます。是非ご自分の耳で確かめて頂き、体で感じて欲しい音源達です。


『BASS野郎』そのHIGHでLOWな日々。

”BASS野郎”という新シリーズの監修をやりませんか?と当時バッドニュースのA&Rだった池戸亨氏に声をかけてもらったのは、今を遡ること14年前の’96年のこと。当時筆者は、学生時代(タワレコでのバイト時代)からやらせてもらっていた音楽ライター業をサブ収入源に、まったく音楽とは無関係の建材の輸入商社で営業マンとして働いていた。

まさに学生時代に初めて書かせてもらった音楽誌である『BadNews』のレビュー原稿などもその昼休みに人目を忍んで書いていたこともあって、同誌が突然休刊になった時は心に大きな穴がポッカリ空いてしまったことを覚えている。よく会社の電話で、上司に気づかれないように”隠語(専門用語)”を使って話してるつもりが・・・・例えば「いつもカバンには『SOURCE』と『VIBE』を入れてます」などといったところ、それを盗み聞き(?)していた上司から後で、「このご時世だからマイ箸ならぬマイ・ソースは理解できなくもないが・・・・マイ・ヴァイブってどういうことだ。けしからん!・・・・でも・・・よかったら・・・・ちょっとだけ見せて欲しいなあ〜。貸してくれとは言わないからさぁ」・・・・などという著しい誤解が生じたことがあったり、レコード会社のアシスタント君が1タイトルの資料だけ送ればいいところを、何を思ったのかその月にリリースされる全タイトル分の資料をファックスしてきて(その数、用紙50枚以上!)困ったこともあったが、お世話になってた雑誌の休刊はその時が自分にとって初めての出来事だったし、何より同誌のスピリットに心底共感していただけに、中々その事実を受け入れなかったのだ。

まあ、その後もリリース物へのライナーなどの寄稿などでバッド・ニュースという会社自体とはお付き合いさせていただくことになるのだが、『BASS野郎』はシリーズということもあって、コンスタントな繋がりが持てることへの喜びが大きかったことも良く覚えている。 そもそも音楽誌『BadNews』は、筆者の心の師(と勝手に思い込んでILL)のレギュラー・ライターの本根誠さんがカッティング・エッジで展開していた日本初のマイアミ・ベース・コンピ・シリーズ『BASS PATROL!』をどこよりも早く「まともに」紹介していた訳で、そのレーベル部門ではサルサやラテン・ヒップホップに力を入れていただけに、ラテン・カルチャーからの影響も色濃いマイアミ・ベースをやること自体、自然と言えば自然なことだった。

で、『ラテン・ストリート・ヴァイブ』という車文化をルーツとするラテン・ヒップホップ・コンピを母親に、『BASS野郎』は「零」というタイトルで華々しく・・・いや、ささやかにデビューするのだった。その”父”と呼べる人物は、「インパクトのあるシリーズ・タイトルを!」と”BASS野郎”なるキーワードを生み出したバッドニュースの千葉和利社長その人、である。そして、そのプロジェクトに興味を持ってコンタクトを取ってきたマイアミのレーベル=ジョーイボーイ(『BASS PATROL!』で既におなじみ)の音源をメインに先行シリーズとはまた違った切り口でこのシリーズは展開されることとなった。今では信じられない話かも知れないが、当時ベース物の日本独自シリーズとしては、先頭を切っていたカッティング・エッジの他、日本クラウンにワーナー・・・そしてシリーズではないが、SoSoDefモノやパピーズなどを持っていたソニーや、BMGも入れると相当の数が市場に出回っていたのである。

『BASS野郎』のコンセプトは、コンスタントに本流となるシリーズでリリースしながら、テーマの異なる傍流シリーズを確立させよう、ということと、付録の日本音圧協会のMCカモさんによるシステム(増強)講座にも顕著なように、「どこまでヤバい低音を鳴らせるか」というカー・システムのツールという部分に特化させること、そしてフューチャリステックな漫画のアートワーク(メイン・シリーズではILLDOZER Graphuckが担当)でも他との差別化を図ろう、というものだった。そして、その本格的な第1弾となった『BASS野郎・壱』はこちらの想像を遥かに上回る反響を呼ぶこととなったのである・・・・。

−つづく−

二木崇(D-ST.ENT)


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